2015秋冬シーズンから新しく取り扱うブランド 『 EDWINA HORL / エドウィナ ホール 』 をご紹介。


【Designer.】
EDWINA HORL / エドウィナ ホール
【Designer Profile.】
・オーストリア ザルツブルグ生まれ。
・1991-93 Yohji Yamamoto(東京)にて、アシスタントを経験。
・1996 EDWINA HORLのコレクションをオーストリア ウイーンにて開始。
・2000 東京へ本拠地を移す。
【Season Concept.】
ファミリー ギャング
生物種:家族動物(Animal famial)
家族動物という種族は大抵なんでも我慢する。だが家の中にほかの動物がいるのだけは駄目だ。競争心からだが別に理由はない。ポストはもうふさがっているのだ。この動物の類縁はむしろ巨大なサイズのものだ。たとえばゾウ、カバまたはムーン?カーフ。魚の入った水槽はまあ許せるが、でもなぜ?自分のほうが心配事を抱えながらも、キーキーと楽しく啼いているイルカみたいに家族の海を泳いでいるではないか。
悩みの種は家族動物ともなると絶えないものだ。小さな店、5人の子供たち、金、親戚 ー トラブル シューティングがほしいくらい。だが面倒なことが多くなるといつもこう言って自分を慰める、「みんな健康なのが一番さ」。会社は、もちろん親父から引き継いだものだが、実際に働くのは姉さんで、妹がときどき手伝い、そのうち連れ合いが加わり、その上、突然姪なんかが居る。あたり前だがここではみんなお互いに助けあうのが規則で、結果が各人の仕事の総計より多くなったりする。そんなところで「信頼を形成する工夫」など要るものだろうか?仮に決算の数字が危険領域に近づくと帳簿づけが「独創的」になる。そこで従姉妹の出番、プロ中のプロだ。
外見は穏やかに大型家族パッケージの中におさまっているが家族動物を思いがけない事件が起っては悩ます。走行中に車が故障するとか、卑劣な商売相手だとか、顧客の問題、子供の教育、法律問題、次から次へと困ったことが沸いてくるものだ!そこでちょっと頭を働かせると ーまるでタコが触手を伸ばして吸盤を広げ吸い付くように -「おお、そうだ、いいことを思いついたぞ!従兄弟の息子の元カノジョは言語治療士だったなあ、別れてしまったのは惜しかった。あの女性とは話が合っていたのに。でも聞いてみようか」とか「息子の元カノジョの両親は弁護士だったっけ。あそこに電話してみるか・・・」 -これでよし。あの人たちにはそのうちお返しに新しい塀でも作らせよう。ギブ アンド テイク。使えそうなコネは何でも使え。みんなで繋がり、家族のようになって、その関係を維持すべきだ。みんな使われたがっているのではないか?この単純な真理は結構ただしいのではないか?
「生き残り競争で内輪の関係にたよる人物」ー この動物がまさにそれだ。
やっと来たウィークエンド。家族動物はソファーに寝そべると、古いベストセラー『ミニマム』を読む。読みながら居眠りをするのだが、周囲の家族の騒音は計測器の目盛りをどんどん上げる。というのは、バーベキューの準備が進行中なのだ。全員集合、エルナ伯母さん、エマ伯母さん、ベルタ叔母さん、エーミル伯父さん、姉妹たち、義兄、義弟のA,B,CとX,Y,Z。義姉と義妹たち、義父母に従兄弟に従姉妹達、姪に甥ども、妹の新しいパートナー、娘たちの友達、息子たちの友達数名・・・。「大勢くると落ち着くのさ。私が眠ればほかのものたちがもっとおしゃべりできる。」ソファーは家族の波が打ちつけるボート。だが家族動物には一向に気にならない。それどころか全員そろうのがうれしいのだ。カバはついにまぶたを閉じる。そして家族の沼に身を沈める。半分眠りながら注意を向けていればよい。
ー個人主義者はぞっとするだろうがー 大体、家族のネットワークでは、多彩な社会生活がほぼ自動的に展開される。いつも祝うべき理由があるのだ。クリスマス、復活祭どころではない、洗礼式、卒業式、誕生日、学校での優等賞、結婚式やら旅行から帰ったからとか・・・。お祝いばかりではない。救ってやらなくてはならないこともあるし、姉さんの夫の浮気を探偵を使って調査することもある・・・それと人の死を悼むことも。だがまたその後でうれしいことに親戚の輪にあたらしい命が誕生して加わる。
なんて可愛い赤ちゃん・・・!家族動物はベビー用品の飾られたショーウインドウの前を通り過ぎ「可愛いなあ」とまた子育てを初めから、あの詩のような赤ん坊時代もそっくりそのまま、やってみたくなる。
家族動物の休暇旅行には計画が必要だ。車数台、山のような荷物。冒険旅行風がよい、だからキャンプにしようか。統制、組み合わせ、快適さが重要だ。ネットワークにつながる全員に知らせが届く。家族部隊はサルディニアへ向けて出発だ。とにかく遠くへ行こう、自由と何かを求めて。サルディニアの木々の下での家族部隊の展開には目を見張る人もいるだろう。まず両親のキャンピングカー、第一テントには姉娘とその友達、第二テントには妹娘とその友達、第三テントには二人の息子、第四テントには親戚。するとある日、6人組がそこに立っている。みんなうちの町の者たちだ。彼らはこっちがホームシックにならないようにとちょっと挨拶に立ち寄る。こんなアタックは予想外だった。こうなると家族というものの経験を積んでいるのが救いだ。つまり人が大勢いるところはもっと人が来るもんだ。「やあ、ちょっとうちのテント村へ入ってくださいよ。」心の中で家族動物は思う。『もしモロッコに行くなんて言ったら彼等は付いて来たのかな?』だが家族動物は家族内ではみんなの同意が必用と知っているから、ーこういう場合、一番望ましい解決にはならなくていつも第二案に落ち着くー なので、一瞬黙るがすぐに面白おかしく小話などしてしまう。
こんな日々もある。空はどんより曇って、する事なす事がうまく行かない。「もうだめだ。」重要な商談がはじける - ついでのシャツのボタンもはじける。顧客が文句を言うわ、従業員が辞めるといいだす。鬱憤がたまりにたまる。まだ家族動物は怒りを抑えている。夜に娘が新しいボーイフレンドを見せに来る、無職のヒッピーだ。息子が学校を辞めたいと言うし・・・歯が痛くてしょうがない。「もうやめた・・・まるでシジフォスだ!」家族全員に、何もかもに、抑えていた怒りが咆哮となって炸裂する。ちょうどテレビでやっていたサスペンスドラマ『犯行現場』が聞こえないくらいだ。みんなはどうしたのという風に彼を見つめる。「すごい声だったね、まるでライオン」とおずおず呼びかける。家族動物はすぐにサウナへ行って、友達に会おうと決める。「クール ダウン」「チル アウト」、末息子の口癖を実行に移すつもりだ。
シングル社会だという事を話に聞いてはいるが、家族動物は、寂しさや独居、「誰も居なくなったら、誰が私を助けてくれるの」といった問いに悩んだことがない。家族動物は常に更新され、拡張される不滅のモデルを信じて疑わない。家族は広い地平だ。過去に目をやればご先祖さまが居るし、その人たちの人生がある。現在では複雑な、でもほころびのない家族の像を楽しめる、その全員とやりとりができる関係にある。未来についてだって子供たちのおかげで軌道が敷けている。ときには大胆に、みんながいてくれるから、私がいる。・・・ということも考える。家族とは「ネスト(巣)なのかペストなのか」 -こんな二者択一の疑問は浮かんだことがない!彼はネストにうずくまっているのではなくネットワークの中にいる。彼と同種の動物がもっと増えれば、国家は危機的な問題を抱えなくてもすむだろう。たとえば減少しつづける子供の数と、将来の納税者という問題もない、適正な年金ピラミッドが保たれる。要するに「世代間の契約」は機能し、憂慮すべき「人口統計上の変化」もおこらない。
『ミニマム』:『ミニマム われわれの血縁社会の衰退と新生』とか『ドイツは疲れている』といったベストセラー。
家族意識を呼び起こすような警告書の類も家族動物には不要である。彼は家族の効用と使用法をよく心得ている。だがこの手押し車を引っ張るために、このシステムを動かすために、つまり家族という生き残り工場を動かすために日夜努力をしている。政治家たちが口にする「子供が居れば家族がある」とか「長期にわたって社会的責任を引き受けるのが家族である」という文句は家族動物にはまったく平凡な言葉である。彼がいつもやっていることだから。
家族動物は人を驚かすのがうれしい。たとえばファミリーギャングを引き連れて、予告もなくウィーンの親戚の玄関口にニヤニヤして立ったりする。「ハロー、来ましたよ。全員寝袋はもって来ましたからね。」この親戚のライフスタイルは彼とは違う。そこを家族動物はよく心得ている。だがこの個人主義者に家族ってどんなに素敵か見せつけてやろうと思うのだ。「勘弁してよ!」
Karin Ruprechter-Prenn
翻訳:菊池雅子


この秋冬から新しく「エドウィナホール」を取り扱います。
メンズ&レディースで展開するブランドです。
綺麗な感じ?
ちょっとリラックス感のある感じ?
どちらにしても、
とってもとっても素敵な洋服を作ってくれるブランドです。
独特の世界観で綴られた上記コンセプトもお時間が御座いましたら是非お読みください。
少し新しい雰囲気を加えたチャクラをこれからもよろしくお願いします。
>> 「EDWINA HORL / エドウィナ ホール」ブランド紹介ページ
>> 「EDWINA HORL / エドウィナ ホール」商品ページ
 

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